山形県山形市で相続にお悩みの皆様へ!各分野で実績豊富な専門家が貴方の様々な相続問題をサポートします。

やまがた太平堂相続サポートセンター

023-643-0158

受付時間:9:30〜17:30(日曜・祝日除く)

相続レポート REPORT

  1. HOME
  2. 相続レポート
  3. 忍び寄る『推計課税』導入の影

忍び寄る『推計課税』導入の影

2013.08.20

『推計課税』という言葉をご存知でしょうか。

これは、税務署長が更正・決定する場合に,直接的な資料によらず各種の間接的な資料(納税者の財産,収入・支出の状況など)を用いて所得を推計し課税する手法を指します。

 

現在、推計課税が法的に認められているのは所得税と法人税についてのみです。納税者が帳簿書類を備えていない場合や、帳簿書類を備えていても内容が不正確で信頼性に乏しい場合、あるいは納税者が税務調査に非協力的な場合に推計課税が許されています。

 

所得税及び法人税の理想は、直接資料を用いて所得の実額を把握することです。しかし、そうなると直接資料が入手できなければ課税できないということになり、結果として課税を放棄してしまうことに繋がります。それでは税の公平負担の観点から適当ではないということで、ここに推計課税が認められる根拠があるようです。

 

地元の人なら誰もが知っている有名なお好み焼き屋さん。店内は常に満席でかなり商売繁盛しているようなのに、申告所得は異常なくらいに少ない。念の為税務調査に入ってみると、帳簿は記載漏れが多く、売上伝票は全て破棄されている・・・。

そんな時に税務署側では、例えば売上金額と相関関係にある麺の仕入れ金額を基にこの店の売上金額を推計し、申告内容との差額に課税することがあります。あるいは、クリーニング事業者に対して、電気・ガスの使用量から売上高を推計し課税したりします。これが『推計課税』です。

 

「この推計課税の手法を相続税にも適用したい」そんな要望が、実は我々の知らないところで国税庁から出されていました。平成25年度の税制改正に向けての意見書の中に盛り込まれていたのです。

具体的には、「相続開始以前の一定期間中に、被相続人の財産を処分または被相続人が債務を負担したもので、その使途が客観的に明白でなく、かつ、その合計額が一定額以上となる場合には、これを相続人が相続したものと推定し、相続税の課税価格に算入する制度を創設する」というものです。

 

現在、『相続又は遺贈により財産を取得した人が、被相続人からその相続開始前3年以内に贈与を受けた財産があるときには、その人の相続税の算出上、この贈与財産の価額を相続財産に加算する』という規定があります。また、『相続時精算課税制度を使って生前贈与された財産については、相続税の算出上、その全額を相続財産に加算する』という規定もあります。

いずれも、被相続人から、「誰に何を幾ら贈与されたのか」さえ把握できればOKです。相続時精算課税については、そもそもその都度税務署に申告書を提出しているので把握は簡単です。それ以外の一般の贈与については、相続人に対するヒアリングや被相続人及びその家族全員の金融機関取引の内容等を調査することで把握していきます。

 

問題は、例えば、被相続人の預貯金等が相続発生直前にごっそりと無くなっているのにその使途がまったく分からないといった場合です。相続人は、「亡くなったオヤジが自分で勝手にやったことで、どこにどうお金を使ったのか我々家族はまったく知らない」と主張します。

税務署側は色々と調査を試みるわけですが、調査をしてもお金の流れがまったく分からないとなると本当にお手上げです。現行制度では、この消えた預貯金等に対して相続税を課税することはできません。もしかしたら相続人のうちの誰かがこっそりと隠しているのかもしれない・・・税務署側がそう考えたとしても、証拠が無ければ課税できないのです。

 

そこで推計課税の導入を要望です。「相続開始以前の一定期間内」に「一定金額以上」の財産が使途不明になっている場合には、これは相続人が相続したものと推定し、相続税を課税します。何とも強引なやり方で、まさに国税局の伝家の宝刀となりえます。

実は、お隣韓国では既に相続税に推計課税制度が取り入れられていて、国税庁としてはその成功例も説得材料として持ち出しています。

 

今年の税制改正では幸い相続税への推計課税の導入は見送られましたが、国税庁がこのまま引き下がるとも思えません。基礎控除の4割カット、税率のアップなど、相続税の増税路線は今年既に確定しました。この流れの中で、推計課税についても是が非でも導入したいと国税庁は考えているはずです。

来年の税制改正に向けた要望書にも、改めて載せてくる可能性は大きいでしょう。来年駄目なら再来年、駄目ならまたその翌年。近い将来推計課税が相続税にも導入される可能性は、今の状況であればけっして否定できません。万一そうなった時に慌てずに済むよう、資産家としては、資産の動きをより明確にしておく必要がありそうです。

カテゴリ : 

筆者紹介

江頭 寛
株式会社 福岡相続サポートセンター 代表取締役社長

生前対策から相続発生後の申告・納税に至るまで、皆様から寄せられる無料相談への対応や、希望する幸せな相続の実現に向けての対策立案と実行支援を、弁護士・税理士・司法書士・不動産鑑定士等の先生方をコーディネートしながら日々やらせて頂いてます。お客様にとってベストな相続並びに資産の有効活用を徹底的にサポートすることが私の最大の使命です。また、相続対策セミナーも全国各地で積極的に開催中。まずはお気軽にご相談ください。

ご相談は無料です

お電話でのお問い合わせ

023-643-0158

受付時間:9:30〜17:30(日曜・祝日除く)

メールでのお問い合わせ

お問い合わせフォーム

メールマガジン
やまがた太平堂相続サポートセンターニュース

相続・節税
お役立ち情報満載

ご登録はこちらから