今日は、「死亡退職金」についてお話します。
相続税を下げる方法として、「生命保険による死亡保険金」に「相続税の非課税枠」があるというのは、ご存知の方も多いと思います。
しかし、「死亡退職金」にも、生命保険と同じ「相続税の非課税枠」があることを、皆様ご存知でしょうか?
今日は、この「死亡退職金」について、少し勉強してみましょう。
【 そもそも退職金とは? 】
そもそも退職金には2種類あります。
ひとつは A : 勇退退職金(退職慰労金)
もうひとつが B : 死亡退職金 です。
皆様、退職金と聞くと、元気で勤め上げた会社を定年退職する際に受け取る、Aの「勇退退職金(退職慰労金)」が、まず思い浮かぶと思います。
しかし、相続対策の中で「相続税」を考える場合に重要になってくるのは、Bの「死亡退職金」のほうになります。
では、いったいどのような節税効果があるのでしょうか?
【 死亡退職金の相続税 非課税枠とは? 】
死亡退職金は、ある一定の金額までは、相続税がかかりません。(相続税法 第12条)
その上限の計算式は、以下のとおりになります。
(死亡退職金の相続税 非課税枠)= 500万円×法定相続人の数
ここで、よく勉強されている方は気づかれると思いますが、計算のしかたとしては「死亡保険金の相続税 非課税枠」と同じです。
※(参考) 死亡保険金の相続税 非課税枠
(死亡保険金の相続税 非課税枠)= 500万円×法定相続人の数
大事なのは、この2つはどちらか一つではなく、それぞれ別枠だということです。
例えば、法定相続人が配偶者と子2名(計3名)で、法定相続分どおりに分割したケースでは
①現金のみ2億円の相続の場合
→ 相続税 1350万円 (相続人3名合計)
②現金1.7億円+死亡保険金1500万円+死亡退職金1500万円=2億円の相続の場合
→ 相続税 975万円 (相続人3名合計)
①と②の相続税の差 375万円
*相続税増税後(平成27年1月1日以降に発生した相続)で計算
*配偶者の税額軽減を適用したものとして計算
同じ「現金2億円相当の相続」でも、非課税枠を活用しているかどうかで、相続税は大きく変わってくるのです。
【 死亡退職金は、どうやって準備する? 】
では、死亡退職金はどうやって準備すれば良いでしょうか?
残念ながら、「退職金」ですので、引退して何もお仕事をしていないということであれば、準備することはできません。
一般的には、大きく分けて下記の二通りがあります。
①個人事業主の場合
→例えば、八百屋をされているとか、アパートを持っていて貸家業をしているとか、何かしらの個人事業をしている場合は、「小規模企業共済」という制度がよく利用されます。
小規模企業共済制度は、個人事業を辞められたときの生活資金などをあらかじめ積み立てておくための共済制度で、国が作った「個人事業経営者のための退職金制度」です。
こちらは、掛け金が全額所得控除になることでも有名です。最高で年間84万円(月7万円×12ヶ月)かけることができます。
ただし、加入には細かな条件があり、元本割れの期間もあります。また、年に84万円ずつしかかけられませんので、急に死亡退職金を増やそうと思っても、それは不可能です。詳細は小規模企業共済のHPなどで、必ず確認をしてください。
②会社を経営している場合
→会社を経営されている場合は、「退職金規定」をきちんと作成して、法人契約の生命保険などでその資金の準備をしておくことが一般的です。
特に、不動産をお持ちの方が節税目的で会社を立ち上げた場合などは、お亡くなりになるまで役員を退職する必要がありません。相続税の納税および節税対策として、死亡退職金を会社で準備することは非常に重要な選択肢の一つになります。
【 必ず、専門家に相談しましょう! 】
以上のように、「死亡退職金」は相続税の納税や節税のために、とても有効な手段です。
しかし、「死亡退職金」を考えるに当たって、まず皆さんがしないといけないことがあります。
それは、「相続税の試算をすること」です。
相続税の試算をせずに、相続税対策をするということは、セミナーなどでもよく申し上げますが 「鏡を見ずに、化粧をするようなもの」です。
あくまで「死亡退職金の準備」や「生命保険の加入」などは、手段であって目的ではありません。かならず、「全体像を把握して」から、対策に入るように心がけましょう。
弊社では、税理士と提携し、「相続税の試算」を無料で行っております。
ご心配な方は、いつでも弊社 福岡相続サポートセンターまで、お問い合わせください。