生命保険は分割対策・納税対策・節税対策どれにも有効な、相続対策のいわば「万能選手」と言われています。
しかし、せっかく生命保険には加入しているのに、いざ相続のときに「役に立たない」?
そんな方が、山ほどいるというのが現実です。
日本人は、生命保険が大好きな民族です。10人のうち、9人は生命保険に入っていると言われています。
なのに、なぜ いざというときに「生命保険が役に立たない」のでしょうか??
今日は、その理由について、少し勉強してみましょう。
【 ケース① じつは「傷害保険」だった 】
損害保険の一種である「傷害保険」を、生命保険と勘違いしているケースです
「傷害保険」は、「偶然の事故」を起因としたケガや死亡を補償する保険です。
よって、事故以外でなくなった場合(病気や老衰など)では、保険金は出ません。
ちなみに、事故でなくなる割合は、わずか「11人に1人」!
事故で亡くなったときしか保険金がでないようでは、有効な相続対策とは言えません。
【 ケース② 保険が切れている 】
これも、たいへんよくあるケースです。
加入している保険が期間の定めのある「定期保険」や「養老保険」で、お亡くなりになったときに保険がすでに切れていることがあります。
相続対策に適した生命保険は、期限の定めのない「終身の死亡保険」です。
以前は、生命保険といえば「定期保険」が主流でした。また「定期保険特約つき終身保険」のように、一見したところ「良い終身保険」と誤解してしまう、ややこしいケースもあります。定期保険は「70歳まで」や「80歳まで」などの期限があります。いくらお金を払うと言っても、続けることができない期限がありますので、注意をしてください。
また、満期金のある「養老保険」は、お金が一部戻ってくるという安心感からか 非常に加入している人が多い生命保険です。しかし、満期がある(=期限がある)という時点で、相続対策としては不十分といえます。
合わせて、養老保険は 実は元本割れする保険会社が大変多いのですが、それにまったく気づいていない方も多く見かけます。養老保険は、相続対策としても 貯蓄としても中途半端なことが多い保険ですので、ご加入の方は一刻も早く見直しをしましょう。
【 ケース③ 死亡保険受取人が配偶者になっている 】
最後に、ちゃんと「終身の死亡保険」に加入していたのに、最後の詰めが甘かったケースをお話しします。
それは、死亡保険金の受取人が「配偶者」になっているケースです。
生命保険は、受取人を配偶者にすることが多いと思います。しかし、生命保険を「相続税の納税資金」と考えた場合は、受取人は本当に配偶者で良いのか、よく考えておく必要があります。
配偶者には「配偶者の税額控除」という決まりがあり、相続税がかからなかったり、他の相続人に比べて税額が小さくなるようになっています。ですので、相続税が一番かかる人は、一般的には配偶者以外(例えば 子ども)です。そのような場合は、保険金の受取人を「相続税を多く払う人(子 など)」に変更しておくべきでしょう。
ちなみに「子どもが相続税を払えないようなら、保険金を受け取ったお母さんが子どもの代わりに払ってあげれば良いのでは?」という質問をよく頂きます。これは残念ながら、親子間であっても「贈与」とみなされ、110万円以上であれば「贈与税」を払わねばならないということになってしまいます。
最初からきちんと受取人を子に変更しておけば、このような問題は回避できます。
受取人変更は、費用もかからず、書類のやり取りで簡単に行える手続きです。ぜひお元気なうちに、確認をしておいてください。
【 「生保」よりも「相続」を先に考える 】
以上のように、生命保険には「チェックすべきところ」がたくさんあり、なかなかに複雑で難しいものです。
ですので、「相続対策の生命保険」の場合、「生命保険のプロ」に頼んでいても、間違った契約をしていることが、数多くあります。
生命保険は、あくまで相続対策の手段の「ひとつ」に過ぎません。
皆さんが、「本当に相続対策をしたい」のであれば、最初に会いに行くのは「生命保険のプロ」ではないと思います。
まずは「相続対策のプロ」に話しを聞いて、全体像の把握から始められることをおすすめします。
ご心配な方は、いつでも弊社 福岡相続サポートセンター まで、お問い合わせください。