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生前贈与と名義預金の認定の違いは?

2018.09.20

相続対策の王道である生前贈与。
年間110万円の非課税の枠を活用し、高齢世代から若い世代へ節税のため、生前贈与をされている方も多いのではないでしょうか。
ただし、生前贈与を行う場合にもきちんとその内容が伴っていないと税務調査で名義預金として認定される可能性があります。

そこで、今回は相続税の税務調査で最も指摘される事項である『名義預金と贈与』についてQ&A方式でご紹介します。

Q.そもそも名義預金って何でしょうか?

A.名義=他の親族。実際の所有者・管理者=被相続人、である預金です。
名義預金とは、名義上は、他の親族(配偶者、子等)の名義となっているが、実質的には被相続人(亡くなった人)の財産である預金のことをいいます。

具体的には、被相続人が他の親族に生前贈与等を活用して、財産を移転したつもりでも、他の親族側でその預金の存在を知らなかったり、自由に使える状態になかったり、といった状況にある預金をいいます。

Q.名義預金と認定されるとどうなりますか? 

A.相続財産として計上しなければならず、過去の相続対策が無駄となり、余計な税金を支払う必要が生じるかもしれません。
こういった預金については、いざ相続が発生した際に、名義上は他の親族であっても、被相続人の相続財産として計上する必要が生じることとなり、結果として、相続税を余分に支払わなければならない可能性があります。被相続人がせっかく相続対策として、生前贈与を行っても、その努力が無駄に終わる可能性がある、ということです。

Q.では、名義預金と言われないために何をすればいいですか?

A.以下の対策を生前に講じておけば名義預金として認定されるリスクを減らすことが出来ます。
①贈与契約書を作成する
⇒法律上、贈与は『あげます、もらいます』の契約により発生します。

名義預金として指摘されるケースとしてよくあるのが、親から『あげます』という意思表示はあるけども、子などから『もらいます』という意思表示がないケースです。

親が子のためにこっそりと積み立てている預金などもこのケースに該当します。
この場合には、親から『あげます』の一方通行なので、贈与が成立しておらず、名義預金である、とみなされる可能性が非常に高いです。

従って、お互いが『あげます、もらいます』の意思表示を示した証拠を残しておきましょう。
なお、贈与は口頭によっても成立しますが、文書に残しておいた方が後々の証拠書類となりますので、贈与契約書を作成することをお勧めします。

②贈与税の申告を行う
⇒現在の法律では年間110万円を超える贈与を受けた場合には、贈与税の申告を行う必要があります。

しかし、実際には年間110万円を超えた贈与を行っていても贈与税の申告を行っていないケースも多く、名義預金として税務署に否認される材料の一つとなっていることが多いです。
従って、年間110万円を超える贈与を行う場合には、贈与を受けた人が贈与税の申告をきっちりと行い、税務署への対抗要件を備えておきましょう。

③通帳は受贈者(贈与を受けた側)が管理
⇒これもよくあるケースです。①、②はちゃんと満たしていても、通帳は贈与者(贈与をする側)である親が持ったままとなっている、という状態です。

この状態ですと、受贈者が自由にその預金を使える状態でないため、実質的には贈与者のものとみなされ、贈与が成立していない、とみなされる可能性があります。 

従って、通帳の管理は受贈者に任せるか、受贈者が現在使っている口座にお金を振り込むようにしましょう。

いかがでしたでしょうか?

上記はあくまで一例にすぎませんが、きちんと対策をしておくことで、名義預金として否認されるリスクを下げることが可能となります。
雑誌やTVなどで大々的に報道されたこともあり、多くの方が相続に関心を持つようになりました。

しかし、正しい相続対策を行わないと結果として無駄な努力だった、となりえますので、注意が必要です。

 

 

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筆者紹介

七島 悠介
税理士法人アイユーコンサルティング 福岡事務所長
九州北部税理士会
税理士、事業承継アドバイザー、相続診断士

税理士登録番号:122703
出身:1985年生まれ 福岡県福岡市出身
学歴:春日高校、西南学院大学商学部卒業

略歴
2010年国内大手税理士法人に入社。東京本部にて、上場会社の税務申告及び相続税申告を担当。
同年税理士試験に合格。その後、福岡事務所において相続税申告、富裕層向けコンサルティング、事業承継コンサルティング、
組織再編コンサルティングなどの資産税業務を主に担当。
また、資産税業務のみならず、M&Aの企業価値評価、持分無し医療法人への移行サポート等、幅広い業務を担当。
その傍ら、富裕層を対象とした相続対策セミナー講師を務める。

現在、税理士法人アイユーコンサルティングの福岡事務所長として、通常の税務顧問業務に加え、富裕層向けコンサルティング、
事業承継コンサルティング、医療法人成りサポート等を担当し、相続・承継のスペシャリストとして活躍中。

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